
01.前立腺肥大症になったら何に気を付ければいい?
「前立腺肥大症といわれています。お酒を飲んだ後、尿が出にくくなります。どうしてですか。日常生活で気を付けることを教えてください。」 (62歳・男)
前立腺の肥大が進行すると飲酒後、尿が出なくなること(尿閉)があります。
これはアルコールによって前立腺の血管が充血し、前立腺部の尿道が圧迫されるために、尿が出にくくなったのです。だからといって、お酒を一滴も飲んではいけないというわけ ではありません。控えめにすることが大切です。また、一度でも尿閉状態になったことがあれば、外科的な治療(経尿道的前立腺切除術など)も考えなければなりません。
次に日常生活で心がけることは以下のことです。 刺激の強い食品(キムチやワサビなど)はできるだけ避けましょう。また、便秘には注意してくだ さい。便秘になると、直腸に溜まった糞便が尿道 を圧迫します。
また、散歩などの適度な運動や入浴などは、骨盤内の血液の循環をよくするために効果的です。逆に長時間のドライブやデスクワークなど、座ったままでいることはよくありません。
トイレが近いからといって水分を控えてはいけません。適量の水分を補給することが必要です。 夜中にトイレに行く回数の多い方は、夕方からの水分を控えめにしましょう。
以上のことに気を付けることで、前立腺の病気のセルフケアができます。
02.前立腺肥大症の加温治療ってどんな効果があるの?
「50歳頃からおしっこの出が悪くなってきました。」3年くらい前に検査で軽い前立腺肥大症と診断されました。最近、徐々に症状が悪化してきました。
このような症状に前立腺加温治療は有効でしょうか。治療費の保険適応はできるのでしょうか。また、治療後に勃起障害は起きませんか。教えてください。」(60歳・男)
このような症状に前立腺加温治療は有効でしょうか。治療費の保険適応はできるのでしょうか。また、治療後に勃起障害は起きませんか。教えてください。」(60歳・男)
前立腺肥大症は50歳頃より発生する熟年以降の男性を悩ます病気です。治療法としては、薬物療法や手術療法(経尿道的前立腺切除術= TUR-P法、 前立腺レーザー切除術 、 前立腺高温度加温治療など) がありますが、 前立腺肥大の程度や排尿症状の程度により、治療法が決められます。
排尿症状が悪化してきて、残尿感が生じるようになれば、手術療法が効果的です。
前立腺高温度加温治療は、尿道粘膜に麻酔をかけ、前立腺を尿道からマイクロ波で加温して治療する最新の治療法です。
治療後肥大した前立腺組織が壊死を起こし、尿道圧が低下するので、徐々に排尿状態が改善してきます。
当院でも400人以上の患者さんに対して行い、有効率も80%以上です。
治療時間も一時間、一回のみで終了する画期的な日帰り治療法です。健康保険も適応されています。
従来より行われている TUR-P法は、術後,逆行性射精(精液が尿道から出ない)が必ず起こりますが、前立腺高温度加温治療では、ほとんど起きることはありません。勃起障害などの心配も無用です。
高齢者や心疾患、脳梗塞などを持つリスクの高い患者さんにも可能です。
前立腺高温度治療は、高齢化社会を迎え、ますます増加する前立腺肥大症の患者さんにとって、より安全な治療法と思われます。
なお、長期的な臨床効果については経過観察が必要です。すべての人に適応できるわけではないので、治療を受ける前に医師と充分に相談してください。
03.前立腺肥大症の手術後、インポになるって本当?
「前立腺肥大症の手術をするとインポテンツになると聞きますが本当でしょうか?」(58歳・男)
前立腺肥大症の手術は、現在、経尿道的前立腺切除術(TUR-P)やレーザ一手術 などの内視鏡を用いたものが主流になっています。このため、手術後急に勃起不全を起こす危険性はほとんどありません。
というのは、内視鏡手術だと勃起に関係する神経を損傷することはまず考えられないからです。 しかし、手術をすると前立腺部の局所に炎症が起きるため、それが原因となる排尿痛や排尿前後の尿道の不快感により、多少勃起力が低下したという患者さんはいます。また、手術をしたことによる精神的影響で、勃起カが低下することもまれにあるようです。
しかし、逆におしっこの出がよくなったことで、若返ってきたという患者さんもいます。
ほかにも手術療法の問題点はあります。TUR-Pなどの内視鏡手術が行われると、膀胱と前立腺の間にある内尿道的括約筋が切除され、射精時に精液が尿道側に出ず、膀胱側に出てしまう状能がおこります。これを逆行性射精といいます。このため、射精感があっても精液が全く出ない状態になります。この逆行性射精が気になる方には、前立腺高温度治療を勧めています。
04.前立腺肥大症の手術後、再発はするの?
「前立腺肥大症で薬を服用していますが、症状が改善され ず、手術を勧められました。一度手術をすれば、再発することはありませんか?」 (70歳・男)
前立腺肥大症で薬物療法の効果がない患者さんや、残尿の多い 患者さんには手術療法が最も効果的です。手術の方法は、経尿道 的前立腺切除術(TUR-P )や レーザー手術が一般的です。 特にTUR-P手術は受けた人の90%以上に症状の改善がありまし た。また、再発率は5から10%といわれています。
手術後、前立腺肥大が再発する原因は、TUR-P手術で切除した 前立腺の一部が残存し、そこから再発することがあるからです。 また、炎症などで膀胱頚部に狭窄を生じることもあり、これによ って再発することもあります。
また、レーザー手術や前立腺高温度治療も、長期的に経過観察 が必要で、手術をしても再発の可能性はある程度否定できないのが 現状です。
05.前立腺肥大症はどうやって予防するの?
「前立腺肥大症はどうしておこるのですか? また前立腺肥大症を予防する方法があれば教えてください」(65歳・男)
高齢化社会の到来と共に前立腺肥大症や前立腺がんの増加が警告されています。 前立腺は加齢と共に肥大していくことは既に明らかになっています。また、前立腺は男性ホルモン依存性副性器なので、男性ホルモンによってその成長や増殖がコントロールされていることも明らかになっています。実際、思春期前に去勢された男性には前立腺肥大が発生しないことから、加齢と男性ホルモンが重要であることに間違いはないでしょう。
人種や地域的要因の観点から考えると、前立腺肥大は白人に多く、中国人や日本人が最も少ないそうです。しかし、米国在住の中国人だとその頻度はかなり高くなっています。
このことから、欧米型食生活(高脂質・ 高蛋白)が影響していると考えられていますが、まだ結論は出ていません。
性生活の観点から考えてみると、高齢になっても性生活を持続している場合、前立腺肥大の頻度が高くなるとの報告もありますが、これも不確定です。
とりあえず、前立腺肥大症の原因についてはまだ不明なことが多いので、これといった予防法はまだ見つかっていませんが、生活で気を付けることとして、「お酒の飲み過ぎを控える」、「長時間の座位生活を控える」、「適度な運動をする」、「毎日入浴をする」、「おしっこを我慢しない」などがあげられます。
