腎臓の病気Kidney Disease

腎臓とは?

 腎臓は、腰のやや上のお腹の後側に左右1個ずつあり、そら豆のような形で大きさは握りこぶしくらい、重さはひとつ150g程度です。腎臓の基本的な役割は心臓から送られた血液をフィルターで濾(こ)しだすことによって、血液中の老廃物や余分な水分を尿という形にして体の外に捨てることです。

腎臓の働きとは?

 腎臓のもっとも重要な働きは「尿」を作ることです。これは血液をろ過することにより老廃物や水分などを尿として体内に排出する働きです。
腎臓の機能 腎不全の時に起こる異常の例
水の排泄 浮腫(むくみ)、高血圧、肺水腫(胸に水が溜まる)
酸・電解質の排泄 アシドーシス(体に酸が溜まる)
高カリウム血症、高リン血症
老廃物の排泄 尿毒症(気分不快・食欲低下・嘔吐・意識障害)
造血ホルモン産生 貧血
ビタミンD活性化 低カルシウム血症、骨の量・質の低下

腎不全の治療法は?

 適切な治療によって、末期腎不全にいたる(=透析・移植が必要になる)時期を遅らせることが可能な場合があります。
治療方法 具体例
原疾患の治療 糖尿病のコントロール・腎炎の治療 など
生活指導 適切な運動・禁煙
鎮痛薬・造影剤など腎毒性物質の制限・禁止
定期的な外来受診・服薬
食事療法 低塩分食・低蛋白食
薬物療法 高血圧の治療
蛋白尿を減らす治療
(ACE阻害薬・アンジオテンシン受容体拮抗薬)
尿毒素を除去する治療(活性炭など)
腎不全による症状に
対する治療
貧血の治療(エリスロポエチン投与)
骨病変の治療(ビタミンD投与など)
高カリウム血症の治療(陽イオン交換樹脂)
酸血症(アシドーシス)の治療(重曹など)

慢性腎臓病・腎不全とは?

 慢性腎臓病(CKD)とは3ヶ月以上持続する尿異常(蛋白尿・血尿)、腎形態異常または、腎機能が約60%未満まで低下した状態を言います。腎機能が正常の60%未満に落ちると、症状が出始め、進行性の腎機能の低下があると考えられます。正常の15%以下の腎機能となり透析や移植が必要か、必要に差し迫った状態を末期腎不全と言います。典型的な症状や検査所見の異常を下表にあげます。
腎機能
(目安)
症状 検査所見 必要な処置
90%以上 ほとんど無し 蛋白尿・血尿・高血圧 定期的検査
60~90% 一度は腎臓専門医受診
30~60% むくみ 上記+
クレアチニン上昇
腎専門医によるフォロー
腎不全進行抑制の治療
15~30% 上記+
易疲労感
上記+
貧血・カルシウム低下
透析・移植の知識取得
腎不全合併症の治療
15%未満
(末期腎不全)
上記+
吐気・食欲低下・息切れ
上記+
カリウム/リン上昇・アシドーシス・心不全
透析・移植の準備
10%以下の腎機能では透析開始・移植施行

末期腎不全に対する治療方法は?

 末期腎不全に対する治療は腎臓の機能のうち、水・電解質及び老廃物を除去する手段である透析療法と腎臓の機能をほぼ全て肩代わりする腎臓移植です。
 腎臓に代わって人工的に体の血液を浄化する働きを代行する方法が透析療法です。
 透析療法を受けることにより生命を維持することができ、ある程度までは普通に生活することが可能になります。しかし透析療法は腎臓機能を回復させる治療法ではなく、腎臓の機能を完全に補うものでもありません。
 透析には、血液透析と腹膜透析の2タイプがあります。
 日本では血液透析を受けている人が圧倒的に多く、慢性透析患者は約30万人います。

血液透析の仕組みとは?

 血液透析では、透析を行う機能で血液を循環させます。血液回路を透析装置(コンソール)にセットします。腕の血管(バスキャラーアクセス/シャント)に針を刺しポンプを使って血液を体の外に取り出し、ダイアライザー(透析器)に循環させて尿毒素を除去した後、体に戻します。
 血液が血液ポンプにより動脈側回路より取り出され、ダイアライザーに送られ半透膜で作られた細い中空糸の中を通り、きれいになった血液は静脈側回路を通って体内に戻されます。

当院の血液透析の実際とは?

 健康な方の腎臓が1日24時間をフルに働いているのに比べ、血液透析では人工腎臓による1週間に9~15時間程度と短くなっています。また血液透析では健康な腎臓の一部が機能を代行することができず、薬剤で補う必要もあります。
 当院では月・水・金は午前と午後の二部、火・木・土は午前の一部で行っております。

血液透析における問題点とは?

 血液透析を受けていく上で考慮しなければならない色々な問題点があります。代表的なものとして以下があげられます。

・週2~3回通院し1回3~5時間拘束される。(当院では通院バスを運行しております)
・透析の際に針を刺す痛みがストレスになる。
・血液の凝固を抑える薬剤を使うので、透析中や透析後しばらく出血しやすい。
・透析中、血圧の降下、筋肉のけいれん、頭痛、吐き気などが起きることがある。
・透析前後で体調の変動が大きく体に負担がかかる。
・水分や食事の制限が厳しい。
・長く透析を続けているとさまざまな合併症が現れてくることがある。

当院の特徴

1.血液浄化療法
当院は、血液透析(HD)の他にも血液濾過透析(HDF)やリクセル等の治療を行っています。

2.入院透析
入院患者さまを対象とした透析も行っております。

3.フットケア
当院では足病変の早期発見や進行を抑制する取り組みとして定期的にフットチェックやABIの測定などを行っています。
糖尿病、高血圧症、下肢のASO(閉塞性動脈硬化症)を有している患者が多い当院ではキセノン治療やスーパーライザーによる治療を行っています。
また人工炭酸泉製造装置を利用しています。
人工炭酸泉の目的として体を温めることによるリラクゼーション、細かい泡の炭酸が皮膚から吸収されることにより毛細血管が開き血流が良くなると考えられています。

4.リハビリテーション
当院では、理学療法士が入院患者さまを対象にリハビリテーションを行っております。寝たきりを予防し活動性の維持を目指して日常生活動作や体操などのプログラムを行っております。

5.無料送迎
当院の専用車でご自宅から病院まで送迎サービスを行っております。